2021年度 筑波大学 情報科学類 編入体験記

はじめに

 本記事では、2021年度編入試験の筑波大学 情報学群 情報科学類における、自分の勉強の流れや、勉強していて感じたことなどをつらつらと書いていきます。なお、この年は、新型コロナウイルスにより試験が2ヶ月延期されたり、TOEICの中止の影響を受けた年で、試験日は2020/09/05 です。

 編入勉強の作戦立てや、編入勉強中のモチベーション維持、情報収集に先人たちの体験記を大変活用させていただいたので、後ろの世代の人たちにも何か助けになればと思い書かせていただきました。

 

 

勉強開始時のスペック

 某高専の電子情報工学科所属でした。ハード系とソフト系をおよそ半々でやる学科です。電気回路や電子回路もゴリゴリやりました(理解したとは言ってない)。
 おおまかなスペックは以下の通りです。

学年末の学科順位

・1年:4位

・2年:4位

・3年:6位

・4年:5位

いつも5位前後を彷徨ってました。点数は90点前後です。トップ3はほぼメンツ固定95点以上のバケモンたちでした。尊敬してます。
 ただ、筑波の編入試験において席次なんて微塵も関係ないので、何位からであろうと本番で点取った人とTOEIC高い人が受かります。東北大学とか、評定が見られるところもそれなりにはあります。
 専門能力ですが、皆無です。TOEICは、3年秋のIPで380くらいだったと思います。特別できるスキルを身につけるわけでもなく、友人と学生会活動とゲームばっかやってました。IPと同時期に、英検2級受けてましたが、リスニングが絶望に出来ない人間だったので、普通に落ちました。あと1問でちょうど合格だった気がします。残念。まあ、TOEIC380くらいじゃ英検2級受からんし、考えが甘かった。パス単2級をBランク(2/3くらい)まで覚えてました。

 

編入試験終了後の成果物

 勉強後の自分のスペック?というか成果物です。

【受験した大学】

横浜国立大学 情報工学EP (2020/07/04) 不合格

筑波大学 情報科学類(2020/09/05) 合格

東京都立大学 情報科学科(2020/09/12) 合格

【勉強した本】

数学:

 ・編入数学徹底研究(2周+出来ないとこは3周)

↑ 最初は教科書で基礎を固めたらこれおすすめします。

編入数学過去問特訓(A問1周, B問2周, C問2周+5章とかは3周)

↑ C問題は難しいです。結局自分はこの難易度に遭遇しなかった。志望大学によって判断してください。

・大学編入のための数学問題集(2変数関数のところと線形空間のところのみ1周)

↑ これは視野が広がるので徹底研究に加えておすすめ。

◆物理(来年以降は使えないけど):
・大学生の初等力学(出そうなとこだけ1, 2周)

↑ 誤植多いですが、いい問題揃ってます。今年の筑波の力学では似た問題出てました。 

・演習 力学(出そうなとこだけ1, 2周)

↑ 力学はガバガバだったのでこの本を泣きながらやって考え方身に付けました。

・大学生の電磁気学(1周+出そうなとこだけもう1周)

↑ 力学版より誤植ひどいですが、出る問題揃ってます。

電磁気学演習(1, 2章やってやめた)

↑ 数値代入系の問題が嫌いでした。ちょくちょく過去問解くときに参考にはしました。似た問題はあります。

◆情報:

・筑波の編入の過去問(H20 ~ R2の13年分)

・筑波の院試の過去問(3回分)

横国情報工学EPの過去問(H24 ~ R2の9年分)

C言語によるはじめてのアルゴリズム入門(色々参考になった)

・定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造(軽く読んだ)

TOEIC

 ここ見てください。795で提出しました。

 

その他:

高専時代の教科書(基礎固めに使用)

・金沢大数学や東北大力学など、性質の似ている過去問

 

勉強の方針

 筑波の情報科学類では、数学、情報、物理、TOEIC(730満点?)なので、これらを勉強します。例年、数学2問(微積線形代数)、情報2問(C言語の有名アルゴリズム~マイナーな自作問題、競プロみたいなやつまで)、物理2問(来年からないはずですが、HPで確認してください)が出ます。

 ただ、自分は筑波の情報学群編入問題に傾向はあまりないなと思っています。多少、ここ2年は陰関数が好きだったり、ベクトル空間やめたりとかはありますが、傾向はないと考えた方が気が楽だと思います。

 道中、横国情報工学EPも受けたので、横国の前は、論理回路Javaの復習、横国の過去問なんかも追加でやったりしてます。ただ、横国情報工学EPは毎年合格者が少なく、筑波と出題範囲も違うので、併願先としてはお勧めしません。筑波が延期して横国が延期しなかったのでイレギュラーに受けてみただけです。

 

勉強のスケジュール

 詳しくは自分のスタプラ見た方が速いです。ただ、4年10月~5年7月途中までしか記録してないです。

4年9月~12月:TOEICやる。長くなるのでここ見てください。

1月:定期試験の勉強と並行して少しずつ徹底研究始める。

2月:定期試験終わって徹底研究と力学の復習をちょっとやる。

3月:ガチる。ベクトル空間、徹底研究と過去問特訓、大学生の初等力学とか電磁気学とかやる。

4, 5月:怠ける。過去問特訓と筑波・横国の過去問を軽くやる。数学は8割程度、物理は解かず、情報は再帰が苦手だったが再帰以外は6-8割くらい。

6月:演習力学と横国の過去問をひたすらやる。論理回路Java復習する。

7月:前半は横国の過去問、後半は忘却したベクトル空間をやる。

8月:筑波の過去問を本格的に解き始める。物理は簡単な気がした。数学、情報は年によって6割 or 9,10割。ただ、選択すれば、安定して計8割以上は解けていた。

9月:5日に本番。終了後やる気が消え、1週間後の都立大に向け、持っていた4年分の過去問だけ解いて大丈夫やろっっと思ったのでそのまま受けてきた。

 

試験本番について

 情報はケアレスミスが怖かったので、数学1,2物理1,2で完結させてやろうと試験前は思っていました。ところが打って変わって、数学2情報1,2物理2を選択しました。
 試験中は「俺、落ちるのかなぁ」とか変なことが脳裏によぎるほど精神状態は最悪でした。試験時間は120分ですが、緊張により、解かなかった数学1と物理1に40分以上を費やし、完全な予定外でしたが情報1,2を30分くらいで埋めました。

 数学1

 メジャーな積分が含まれている重積分と、陰関数(独立変数2つ)の微分、2変数のマクローリン展開でした。2変数のマクローリン展開を出題しているところは初めて見ました。計算量は多いです。本番で緊張していて、普段なら解けるはずがペンが進まず、時間を20分無駄にしました。

数学2

 よくある線形変換の問題です。小問3つで、こちらもまた、緊張によりなんかできませんでした。最初の10分は(1)から出来なくて25分くらい使って結局完答してるのは(1),(2)で、出来は6割です。

情報1

 BFSで重みなしグラフの最短路求めたり、BFSのためのキューの実装についてです。これは簡単でしたが、まだ、不完全な数学2しか解答用紙に書けていないのに、すでに試験開始から1時間以上経っており、ようやく少し取り返せた気がしてました。合ってれば10割。

情報2

 残り時間15分で、物理1に見切りをつけて、解答用紙を全部消してからこれを解きました。時間足らなかったので、4/5問しか解いてないですが、解いてみれば大したことはなかったので、最初からこれをやれば良かったです。合ってれば8割。

物理1

 ロケットが上昇していて、燃料を噴射/消費しながら上向きの速度を得て運動するよくある問題です。解いたことあるし、普通に解けると思いました。質量が変化するので、運動量の変化から運動方程式を立てます。運動方程式からの加速度、速度と順当に積分して出せましたが、速度を積分した高さが、積分が難しくてできませんでした。以降の問題も、その高さに関する考察なので、見込める点数が低いと思い、結構時間を使いましたが見限りました。

物理2

 電磁気。かと思いきや、なんと物理量の単位系をMKSA単位系で答えるだけの問題です。知ってる法則や定義から次元計算すればいいです。最初は無理かもしれないと思いましたが、やってみれば10分もかからず余裕でした。10割。
 .......とか思っていましたが、試験終了後に、電荷の単位[C]を求める問題で、電流の定義 i = dq/dt をなぜか q = di/dt とかアホなことしてたことに気付き、絶望してました。
そのせいで、それにより出した[C]を使った以降の単位でも間違いを起こし、悲惨なことになっていると思います。ただ、「○○の関係より......」的な途中はちゃんと書いたので、部分点祈ってました。最悪の出来は3割 ~ 良くて7割程度でしょうか。
 なんで電磁気学演習とか回してたんだ...

 

試験を終えて

 例年、本番で200点(50点×4)+ TOEICを100点に換算しての300点満点で、240くらい(8割)がボーダーなんじゃないかと言われています。そのため、TOEICで満点を持っていれば、残りは140点を取れればいいので、本番は7割で済むはずです(保証はしません)。
 自分の出来としては、TOEICは795なので満点のはずですが、物理2の部分点次第で、130 ~ 160点位まで振れていたので、とにかく祈るしかありませんでした。

 数学2が完答できなかったことと、アホなケアレスミス、時間配分の決定的な誤りにより、絶望しながら帰路に就いたのを覚えています。合否は、完全に物理2の部分点に委ねられていました。「僕が採点すれば、ギリギリ合格になる!...」とかアホなことも考えたりしましたが、部分点もらえなければ、普通に落ちてます。合格していたので、おそらく、そういうことなんでしょう。ギリギリだったと思います。

 

勉強してみて思ったこと

 ・過去問にこだわりすぎない

過去問なんて、所詮もう出ない可能性の高い問題群です。傾向や時間配分などの試験慣れに使えれば十分でしょう。自分みたいに律義に10数年分を2周とか解かなくてもいいと思います。ただ、これは傾向や難易度の年ごとの差が激しい筑波に関する話で、難易度帯が過去問でしか味わえないような専門科目や、阪大とか東大はゴリゴリ解くんでもいいと思います。過学習は本番での予想外や焦りになったりと、敵でしかありません。

 

 ・勉強する科目/範囲は絞りこむ

 これは、横国を受けて思ったことです。横国数学では専ら、固有値固有ベクトルn乗問題と、微分方程式しか出ません。ホントにこんな感じです。また、筑波情報の数学では、微分方程式は基本的に出てませんが、線形代数はベクトル空間が出てたり、極限から2変数関数まで出ます。そのため、これらの併願は先述の通り噛み合ってません。この試験が1か月以上離れているならばどうにでもなる気はしますが、1, 2週間程度だと、正直邪魔になると思います。また、専門科目も論理回路Javaが出ており、こちらも噛み合ってません。
 また、所によっては、化学や情報理論、電気回路、電子回路、計算機アーキテクチャ離散数学、英語のTOEIC可否など、筑波情報と被らない科目を試験科目に据えている大学というのは多数存在します。これを考えると、編入試験は確約書が被らなければいくら併願できるといっても、現実的にはかなり限られてくることが容易に想像できると思います。したがって、筑波志望の人に限らず、第一志望に沿った科目を据えている大学というのを併願先になるべく置いて、第一志望の阻害にならないようによく考えましょう。
 ちなみに自分は最初、ぱっと見で確約書が被らなそうな筑波/東北/名工/電通とかで考えてましたが、考えを改めて、筑波/都立/横国(日にちが離れててTOEIC有利だと思ったから)で組みました。前者で突撃してたら死んでたと思います。ちなみに、残念ながら横国TOEICはあんまり見てないと思います。(想像の範疇です)

 

まとめ

 コロナで自粛期間有り、イレギュラーな延期ありと、例年よりも2ヶ月長い戦いでしたが、編入の同志達とはお互いにとにかくお疲れさまと言いたいです。今年は、筑波や東北勢が滑り止めにする地方国公立が軒並み、合格人数が少なかったような気がします(気がするだけでちゃんと調べてません)。とにかく、来年以降の受験生は、TOEICをさっさと取りましょう。それだけで選択の幅と心の持ちようが違います。
 編入生みんな応援してるので頑張ってください!

TOEICスコア約3ヶ月で400点アップした

はじめに

 高専生です。本記事は、この釣りっぽい自語のタイトルの通り、TOEICスコアを約3ヶ月で380→795にした際の勉強法などを記したものです。TOEICの入門者が初級者になるための参考になればいいなと思います。
 なお、TOEICの各パートごとの基本的な情報は知っているものと仮定し、本記事はこの記事(筑波の編入体験記)からの流れを汲んで書いてます。単独で読むと読みにくかったりするかもしれませんが、僕はオブジェクト指向が身に付いていないので汎化的なコードは書けません。ご了承ください。

 

 

TOEIC対策の方針

 まず、英語は語彙と文法だと断言できます。ここを怠ってのスコアアップは考えられません。ここに命を懸けましょう。
 金フレ全暗記、Part5,6を安定して7~8割程度がないと、730以上の基盤とは言えないと思います。まずは徹底的にここから磨きましょう。ここが一番苦しいですが、ここを終えると後は好循環のループに入るので、やればやるだけ点数が伸びて楽しくなってくると思います。頑張りましょう。

 

TOEIC勉強の流れ

 TOEICは、編入に使うからと意識していたからではなく、「なんとなく英語やるかぁ」がきっかけです。4年の8, 9月は夏休みで、教習所行ってたんですが、9月から同時並行して金フレ始めました。以下におよそのスケジュールと使った本とか示します。

・9月:

 金フレを100単語/日で復習含め1000単語を約2週間で覚えます。1000単語ってのは、途中のコラムとかの100単語入ってるんで、最後の990レベルは覚えてません。無理でした。そこは10月に覚えてます。9月後半は、金フレを忘れないように復習と、1駅1題 新TOEIC(R) TEST 文法 特急をやってました。

・10月:

 TOEIC L&R TEST パート1・2特急 難化対策ドリルでディクテーションと、1駅1題 TOEIC L&R TEST 読解特急をやりました。相変わらず、金フレの復習も欠かさずやってました。リスニング絶望マンだったので、ディクテーションは聞こえるようになるまで何回もやるための口実というか建前みたいなもんです。
 読解特急は、2週くらいしてると思いますが、すぐ終わると思います。10月後半は、公式問題集やり始めました。10月前半までのを真面目にやったので、予想スコアはこの時点で600前後は出てたと思います。10月の途中からスタプラをポチポチ始めましたが、時間にして45時間くらいです。最も伸びた時期だと思います。

・11月:

 単語復習とひたすら公式問題集です。最終的に、当時出ていたL&Rの2,3,4と1の半分で計7回分はやりました。初見はちゃんと時間見て解きますが、採点後は、理解に努めて何回も読み聞きします。定期試験と文化祭と修学旅行のせいで、15時間くらいです。リーディングが伸びました。

・12月:

 12/15の本番までひたすら公式問題集です。12月に入ってから、Part3,4の先読み能力が圧倒的成長()を果たし、予想スコアも700台に乗り始めました。定期試験の後半が被ってたので、2週間で25時間くらいです。

・本番:

 本試験は初めてでしたが、800台の友人が「本番では覚醒するから大丈夫だよ。」と教えてくれて、ちゃんと集中出来ました。リスニングは簡単に聞こえました。リーディングは、最後の2問だけ塗り絵ですが、あとは読むことはできました。
 結果としては、L:420, R:375の計795でした。初本試験にしては取れすぎていて自分でも700行くかギリギリだと思っていたのでビックリしました。

 

TOEIC対策として思うこと

 TOEIC勉強を通して、英語への抵抗感がなくなったことは大きいと思います。ただ、本番で解いていても思いましたが、明らかに情報処理能力試験も兼ねていると思います。自分は、テクニック(斜め読みや文字列照合など)でスコアを伸ばすことに異議を感じていたので、英文は全部読む派なのですが(というか読まないと結局解けない・頭打ちになると思う)、読んだ事項を頭にとどめて置いたり、予め読んだ設問から聞かれる情報を推測することなどは、英語以外の頭の回転・TOEICへの慣れに相当します。この辺は、意識せずとも公式問題集を繰り返して自然と身に付いてました。

 この経験からも、巷で言われている金フレと公式問題集だけやればいいというのはある程度事実だと思います。ただ、800以上のスコアとなると、普段からもっと英文に触れるなどが必要かなと思います。そのため、短期間スコアアップの限界値だったと自負しています。

 また、意識したことですが、「英語は返り読みせずに前から意味を取れるように読むこと」、それと、それに伴う「速読能力を磨くこと」、です。これを意識すれば、Part7の完読と、速読力によるPart3, 4の先読み能力が身に付くと思います。Part3, 4は明らかに先読みゲーです。これは、テクニック云々を意識しなくとも、勝手にこの結論に至ると思います。Part7読めるようにすれば、高地トレーニング的にPart3, 4の先読み精度が上がってスコア上がっていくと思います。

 以上が自分が実践してきたTOEICの勉強です。少しでも役に立てればと思います。なお、詳細な時間は自分のスタプラの10月~12月15日までを漁ってください。